大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和28(オ)1014 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人浜口重利の上告理由について。

原判決の認定するところによれば、Dが上告組合又は上告組合長宛に振出し又は

差出した所論の約束手形及び支払猶予依頼の手紙は、いずれも同人が個人の資格で

振出し又は差出したものにすぎないというのである。ところで一般に、組合理事が

手形を振出し又は手紙を差出すに当り、その署名に理事の名称を用いた場合には、

特別の事情がない限り、右理事の資格においてそれらの行為をなしたものと認むべ

きことは当然であるが、かかる場合でも、手形振出に至つた経緯、手紙の文言内容

その他諸般の事情に照し、理事が個人としてそれらの行為をなしたもの(個人とし

て手形上の義務を負うか否かは別論として)と認むべき場合も絶無とはいえない。

そして原判決は、Dの振出し又は差出した前記手形及び手紙に同人の被上告組合理

事の名称の記載がある事実を認めながら、証人Dの証言及びその他の証拠により、

同人が個人の資格において振出し又は差出したものと認めたのであつて、右援用の

証拠によればかかる認定もなしえないではないから、原判決の右認定をもつて経験

則違反その他の違法があるものとすることはできない。そして、右の如くDの前記

各行為がすべて同人の個人の資格においてなされたものである以上、同人がそれら

の行為につき被上告組合を代表する権限を有したか否か、また、その代表権に対す

る制限をもつて第三者に対抗することができるか否か等の問題を論ずるまでもなく、

右行為により被上告組合の追認の効果を生じなかつたことは自明といわなければな

らない。然るに、論旨第二点の(イ)及び(ロ)は、いずれもDが被上告組合の代

表者の資格において前記行為をなしたことを前提とする議論であるから、原判旨に

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副わず、従つて、その援用の判例もすべて本件に適切ならざるに帰する。それゆえ

所論はすべて理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

裁判官 池 田 克

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